抜歯・非抜歯矯正の考え方

矯正治療と抜歯

治療矯正治療では、歯やあご、フェイスラインなどを総合的に判断して、どうしても抜歯しなければ矯正治療ができないケースがあります。

ただし、歯並びを治したいけれど、抜歯には抵抗があるという方はたくさんいらっしゃると思います。矯正相談で歯を抜かないとうまく矯正できませんと言われ、矯正治療をあきらめてしまうケースもあるかもしれません。

当院では天然の歯をかけがえのないものと考えており、できるだけ歯を抜かない矯正治療を基本にしています。特に小児矯正の場合はあごの成長をコントロールできるため、抜歯が必要になるケースはかなり低くなっています。ただし、すべての患者様が抜歯をせずに矯正できるというわけではありません。実際に当院の矯正治療では、小児矯正を5~7歳くらいに始めたケースでは約8割、成人矯正でも約半数が歯を抜かないで治療を行っていますので、平均的な矯正治療に比べてかなり抜歯率が低くなっています。

矯正治療のために健康な歯を抜いたとしても、見た目や咬む機能が大幅に向上し、それが口内や全身の健康に役立つケースでは抜歯は有効です。

当院では矯正治療を始める前に、治療内容をわかりやすくご説明しています。抜歯に関しても、必要な理由や歯を残した場合の仕上がりなどをしっかりご説明しています。患者様がご理解の上、ご納得されてからの抜歯しか行っていませんのでご安心ください。

抜歯の痛みについて

薬矯正治療の抜歯に関しては、痛みを心配される方もいらっしゃると思います。当院では、麻酔のチクっとした痛みもないように最大限の配慮を行って、痛みのほとんどない抜歯を可能にしています。抜歯後に服用するための鎮痛剤をお渡ししていますが、麻酔が切れた後も痛みが強くなく、服用せずにすんでしまうケースも珍しくありません。
痛みが苦手という方は、お気軽にご相談ください。

抜歯の判断について

叢生歯並びが乱れていることで見た目が気になるという患者様が多いのですが、不正歯列はさまざまな健康上の問題にもつながります。
たとえば歯が前に出ているなどで口をしっかり閉じられないと口内が乾燥し、歯周病リスクが上がって将来的に歯を失う可能性が高くなります。また、左右の咬み合わせがアンバランスな場合には、顔全体がゆがむ可能性がありますし、顎関節症になりやすい傾向があり、慢性的な肩こりや頭痛などにつながることもあります。
さらに、歯並びが乱れているとどうしても日々の歯磨きなどでケアが行き届かず、虫歯や歯周病になりやすくなります。見た目はとても重要ですが、それが健康にもかかわっているのです。
歯並びは、舌や唇、口周辺の筋肉にも大きく左右されます。当院では歯並びと咬み合わせだけでなく、こうした筋肉などの状態も考慮した上で総合的に判断して、適切な矯正治療を行っています。

できるだけ抜歯しないために

早期相談

早期相談小児矯正は、あごの成長をコントロールする一期治療と、歯並びや咬み合わせを整える二期治療に分けられます。一期治療は5~7歳くらいにスタートさせ、永久歯が生えそろった12歳頃に二期治療を行います。ただし、受け口の場合には0期治療といって5歳くらいには治療をスタートさせることが望ましくなっています。そのため、受け口が疑われる場合には、5歳前後でご相談にいらしてください。

じっくり時間をかけて矯正

じっくり時間をかけて矯正あごの成長や歯の移動は、ある程度の時間をかけて行うことが重要です。あごの成長コントロールでは筋肉が適応することも不可欠ですから、時間をかけないとうまくいきません。また、短時間で歯を動かしてしまうと元に戻りやすくなるため、適切な時間がどうしても必要です。

よく噛む食生活

食事左右をバランスよく使いながら、噛む回数を増やすことで口周辺の筋肉を発達させてあごの成長を促します。あごの成長が不十分なケースでは、普段からあまりよく噛んで食べていないことが多くなっています。噛むことは脳への血流を増やし、唾液の増加により消化も助けます。よく噛むことを積極的に習慣づけるようにしてください。

小児矯正のメリット

5歳永久歯がきれいに並ぶためのスペースがなければ、歯は重なり合うか、前に出るか、斜めに生えるしかありません。小児矯正の一期治療では、あごが成長する時期に合わせて、それをうまくコントロールすることができます。そのため、歯を抜かずに矯正治療できる可能性が高くなるのです。また、大人になってからの矯正では、あごを切るような外科手術が必要になるケースもありますが、そうした場合でも小児矯正を受けることで外科手術をしなくてすむ可能性も高くなります。なお、小児矯正であごの成長を促すといっても、顔が大きくなったり、エラが張ってしまうようなことにはなりません。
さらに、小児矯正の一期治療を受けることである程度歯並びや咬み合わせが整ってくるため、歯並びを整える二期治療の期間を大幅に短縮できるケースもよくあります。ただし、お子様は成長期にありますので、歯並びや咬み合わせが整った後も経過観察を定期的に行いながら慎重に装置を外す時期を見極める必要があります。こうしないとその後、骨格が成長してあごの位置や歯並びが乱れてしまうことがあるからです。
当院では、小児矯正のこうしたメリットを最大限生かして、お子様の心身に負担の少ない矯正治療を心がけています。